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相部屋
近いものを感じるので
お焚き上げで 手紙かく
昨日まで となりの島に寝ていたのに
起きたら 花と花びんに
なってしまっていたから
ひやり冷たい海に浸かり
はだしで きみの名前さがす旅
白い箱の中でみつからなかったら
ブランコで中庭に降りるまで
どうでしょう そちらの様子は
こっちの人たちが夢見るとおりなの
先週の金曜 この島に
運ばれてきてからずっと
不本意なことに
きみに あいさつできなかったから
今日こそは と思ったのだ
こうして手紙をかくけど
そちらからの返事は どう受けとればいいの
どうでしょう こちらの姿は
そちらからは汚れて見えるものなの
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猫のネクタイピンの先生 1
「どうしてしゃべってなくちゃいけないんですか」
「ぼくが?」
「ちがいます」
「ああ、教室のうるさい人たちが」
「そう」
「あれはね、しゃべってないと死んじゃうの」
「え」
「ぼくやきみは、あと教室の何人かは、賢く大人で、より良い人々なので、静かにしているのが快適だということがよくわかっている訳です。しかしあのうるさい連中は、野蛮で馬鹿で愚かなので」
「まあそれは随分と左寄り」
「本当のことさ。それというのも家柄の問題なの」
「私も先生も裕福ではありませんが」
「確かにそうなんだけれどね、かなしいことに。が、家柄の問題というのはなに必ずしも所得財産の問題ではない」
「育ちということ?」
「そ」
「親ということ?」
「ちがうこともある。まあ、色々」
「色々」
「きみのような人は心配のいらないことばっかりだ。さ、そろそろお帰んな」
「そうですか。いつもそんな風に言うんですね」
「便利な言い回しだ」
「…では心配しないことにします。失礼いたします、先生」
「はい、またいらっしゃい」
イチゴジャム
もうすぐ何もかも死んでしまう中庭、パステル色、むせかえるような甘い匂いの中に寝そべって、微睡むわたしたちの記憶
「イチゴジャムのね、果肉だけが、好きなの。つぶつぶの果肉のところだけが食べたいの」
「わたし、どろどろのところが好きだよ」
「どうして」
「どろどろのところが、イチゴがジャムになってるところだからだよ」
「ふうん」
「…ねえ、わたしがどろどろのところもらってあげる。果肉のところは食べていいよ。ねえ、いつもふたりで同じびんを空けよう」
「いつも?」
「そう。いつも。ふたりで一緒に、小さくてかわいいびんのイチゴジャムを買ってきて、おやつのときに、一度でぜんぶ食べちゃうの。びんからジャムをすくうスプーンを、そのまま口に運んでいいんだよ」
「ふふ、しあわせだね」
「うん、しあわせ」
「かわいいびんがいっぱいたまっちゃうね」
「うん、そうだね」
「そしたらそのびん、うちでつくったジャムをまた入れてもいいけど、型にして、卵のプリンつくろうよ、ね」
「うん、うん」
「銅のお鍋は重いけど、がんばってカラメルのソースもつくろうね。プリンも、わたしたちふたりだけで食べるの。ぜんぶふたりで………ねえ、どうして泣いてるの」
「…しあわせだからだよ」
「しあわせなのに泣いてるの」
「そう、しあわせだから泣いてるの」
「ふふ、変なの」
「うん、そうだね」
「…ねえ、しあわせだね」
「しあわせ。すごくすごくしあわせ」
ぬ
未来のことはこわいから考えません
将来のことは不安だから考えません
今はおなかが少し空いてるから
明日の朝ごはんのこと考えます
君のことは面倒だから考えません
もうここにはいないんだから考えません
今はおなかがわりと空いてるけど
冷蔵庫まで行くのが面倒だから忘れます
ベランダ
通らない車のために
静かに青にかわる信号を上からみている
昨日満月だった月はもう
大分右に傾き ときどき雲を被る
夜更かししていると
吐き気が催されることがあるよ
今2時半過ぎ、今夜も然り
月明かりの他にはバックライトと
うるさい街灯頼りに 使わない言葉覚えなくちゃ
あなたの心配、苛立ちはごもっとも
だって言われなくてもちゃんとやってる、
は明後日の予定で
帰納法によれば暗記はいつまでも終わらない
なんで
どして
できない
だって
ちょっと
めんどい
雨降ってきたから洗濯物
とりこんどいたんだよ、褒めてほしい
小さいことで えらいね、って言ってほしい
馬鹿なひとは嫌い
頭いい人も嫌い
大声出すひとが一番嫌い
充電しろってうるさいよ、もう 今覚えられないんだったら
別にやらなくてもいいじゃない