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猫のネクタイピンの先生 1
「どうしてしゃべってなくちゃいけないんですか」
「ぼくが?」
「ちがいます」
「ああ、教室のうるさい人たちが」
「そう」
「あれはね、しゃべってないと死んじゃうの」
「え」
「ぼくやきみは、あと教室の何人かは、賢く大人で、より良い人々なので、静かにしているのが快適だということがよくわかっている訳です。しかしあのうるさい連中は、野蛮で馬鹿で愚かなので」
「まあそれは随分と左寄り」
「本当のことさ。それというのも家柄の問題なの」
「私も先生も裕福ではありませんが」
「確かにそうなんだけれどね、かなしいことに。が、家柄の問題というのはなに必ずしも所得財産の問題ではない」
「育ちということ?」
「そ」
「親ということ?」
「ちがうこともある。まあ、色々」
「色々」
「きみのような人は心配のいらないことばっかりだ。さ、そろそろお帰んな」
「そうですか。いつもそんな風に言うんですね」
「便利な言い回しだ」
「…では心配しないことにします。失礼いたします、先生」
「はい、またいらっしゃい」
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